7/28　第二回　清元斎寿師を迎えて シリーズ「衣鉢を継ぐ伝統芸能者たち」

　日本の伝統芸能の世界は、どのジャンルでも先人や師匠から、その道の奥義を教えられた者たちが、次の世代にその真髄を伝えることで長らく続いてきました。
　シリーズ＜衣鉢を継ぐ伝統芸能者たち＞では、それぞれのジャンルで陰に陽に支えている伝統芸能者たちに着目し、先人や師から受け継いだこと、次世代に伝えていくことなどをお伺いいたします。
　第二回目のゲストは、清元節三味線方の清元斎寿さんです。斎寿さんは清元宗家七世家元の清元延寿太夫のご長男で、歌舞伎俳優で清元の太夫も兼ねる尾上右近さんのお兄様でいらっしゃいます。幼少時からお父上様や清元美治郎師から手ほどきを受け、三味線方として歌舞伎の舞台等で活躍する斎寿さんですが、近年では子どもたちをはじめ、清元の魅力を伝えるワークショップを積極的に行っています。
　斎寿さんには、師匠方から受け継いだ清元の芸の真髄、そして斎寿さんが伝えようとする清元三味線の豊かさを、実演を交えながら語っていただきます。
　ナビゲーターは三重大学人文学部准教授の田中綾乃さんです。

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清元斎寿（きよもと・さいじゅ）
　昭和59年生まれ。清元宗家七世家元 清元延寿太夫の長男。曾祖父は六代目尾上菊五郎、母方の祖父には俳優鶴田浩二、弟に歌舞伎俳優の尾上右近。平成７年より清元美治郎師より手ほどきを受け、13年2月、清元昂洋を名のり社中となる。同年3月新橋演舞場にて歌舞伎公演でプロデビュー。21年からは自身の勉強会として「清道會」を主宰。28年の六月大歌舞伎「吉野山」で初めて歌舞伎座公演の立三味線を務める。30年2月延寿會（歌舞伎座）にて初代清元斎寿を襲名。
　令和4年10月、名古屋をどり NEO傾奇者「NEO舞踊劇名古屋心中」に作曲と演奏で参加。5年2月には歌舞伎附け打ちの山�ｱ徹とワークショップ☆ラボ「ツワモノ」を立ち上げる。同年10月、イイノホールにて夢枕版「怪談 牡丹灯籠」白石加代子×神田伯山＋邦楽コラボレーションに清元の部分の作曲と演奏で参加。6年10月、名古屋をどりNEO傾奇者「NEO舞踊劇名古屋ハイカラ華劇團」に演奏と清元の部分の監修で参加。同年11月、JT「ヒトとココロを考える。」に出演。7年度NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」に出演と三味線指導で関わる。歌舞伎公演、日本舞踊公演をはじめ多方面に活躍の場を広げる。

田中綾乃
名古屋市生まれ。三重大学人文学部准教授。演劇評論家。カントを中心とする哲学研究を行う一方、長年の観劇歴から演劇批評にも携わる。歌舞伎公演パンフレットの演目解説や新聞評、雑誌などでの劇評執筆多数。