1day講座
コレステロールの不思議
中部大応用生物学部客員教授 横山信治
5月15日(金)13時00分~14時30分
2,750円(税込み)

コレステロールには何となく悪いイメージがある。人間ドックの診断書にもLDLやHDLの数値が載っていて、「経過観察」はまだいいが、「要精密検査」だと、ドキッとする。だが、そもそもコレステロールとは何だろうか。
横山信治さん=写真=は、この分野の研究、治療をけん引してきた。名古屋市立大教授、医学部長、国内や米国、カナダの政府委員を歴任、現在は中部大応用生物学部客員教授。
コレステロールは生命維持に欠かせない脂質だ。水(血液)に溶けないため、何かで運ぶ必要がある。運び方には2つの種類があり、LDLは肝臓から体内組織に運び、HDLは脂質をはぎ取り肝臓に戻す。それぞれ悪玉や善玉、宅配便、掃除屋といわれることもある。必ずしも反比例の関係にはないが、LDLの数値が上がると、HDLが下がり、動脈硬化や心筋梗塞のリスクが高まる。
人類は飢餓と戦ってきた。このため、脂質をため込む仕組みが遺伝子に刻まれている。半面、過剰になった脂質を消費する方法はないがしろにされてきた。進化と密接にかかわるだけに、均衡を保つのはやっかいだ。
LDLを抑制する薬はあるが、それは本当に治療が必要な患者に限って使うべきだろう。食生活や生活習慣の改善は有効だが、たとえば高齢者に厳しい対応を強いることには議論がある。
「コレステロールという言葉は広く知られているだけに、誤解や乱暴だと感じる解説が少なくない」と横山さんはいう。もし心筋梗塞が心配なら、正しく知ることだろう。